膝が痛いときに疑う病気|関節リウマチの症状と引き起こす原因
重いものを持ったときに「膝が痛む」「膝を動かせる範囲が狭くなってきた」といった症状に悩まされている方は多いのではないでしょうか。
一時的に腰が痛むといった症状であれば、特に心配はいりませんが、痛みが長く続いたり動かせる範囲が狭くなってきたりした場合は、関節リウマチの可能性があります。
他にもさまざまな原因が考えられますが、いずれにしても膝の痛みが治まるまでは、普段の生活に支障をきたすこともあるかもしれません。
関節リウマチは病院で早めに治療を受ける必要があるので、下手に自己流のケアをしないことが大切です。
関節リウマチは、どのような症状が現れるのでしょうか。
ここでは、関節リウマチの代表的な症状や原因、治療法や治療後の過ごし方などについて詳しくご紹介します。
関節リウマチの代表的な症状
関節リウマチは関節に炎症が起こる病気です。
膝だけではなく、手首や肘、足首、頸椎など関節であればどこにでも起こる可能性があります。
関節に炎症が起こると、痛みや腫れ、こわばりなどが現れます。
その他、発熱するケースもあるため、風邪などと間違えることもあるかもしれません。
進行すると、関節の軟骨が破壊されます。
やがて、骨まで破壊されて関節が変形したり脱臼したりするのです。
膝関節のリウマチが進行した場合は、膝を真っすぐ伸ばすことができなくなったり、痛みと関節の変形の影響で歩けなくなったりします。
関節の痛みと発熱が重なることでインフルエンザを思い浮かべる方もいるかもしれません。
インフルエンザでは、関節のこわばりは通常起こらないため、このような症状が現れた場合は、内科ではなく整形外科などを受診しましょう。
また、関節リウマチは誰にでも起こる可能性がありますが、特に30~50代の方に多くみられます。
なお、15歳以下で起きることもあるため、子どもが関節の痛みや腫れなどを訴えた場合は、念のために整形外科などを受診しましょう。
関節リウマチになってしまう原因
関節リウマチは、外敵から身体を守る免疫システムが、何らかの原因で関節を攻撃するようになり発症すると考えられています。
なぜ、自分の身体を守るはずの免疫システムが自らの身体を攻撃するようになるのかは、解明されていません。
しかしながら、病気が進行するメカニズムについては、少しずつ解明されていっています。
関節は、関節包(ほう)というもので包まれており、その内側には滑膜(かつまく)があります。
この滑膜に何らかの理由で炎症が起こると、滑膜細胞が異常に増えます。
そうすると、滑膜内の血管が増えて、免疫システムの一端を担う白血球が滑膜組織へと入り込むのです。
その結果、関節が白血球に攻撃されて炎症が起こります。
関節の痛みといえば、重いものを持つことで起こるというイメージがあるかもしれません。
しかし、関節リウマチには免疫システムが関係しており、重いものを持つことは発症のきっかけになりません。
そのため、心当たりがないのに「関節が痛い」「腫れてきた」といった場合には、できるだけ早く病院を受診することが大切です。
関節リウマチの痛みをやわらげるには
関節リウマチは、基本療法と薬物療法を併用します。
基本療法では、下記のような指導を受けます。
- 炎症が強いときに安静にする
- 関節が動く範囲が狭くならないよう簡単な運動を1日数回行う
- 関節を動かさないことによる筋肉の痩せを防ぐために運動する
- 症状をコントロールするためにバランスのとれた食事を摂る
- 関節を冷やさない
薬物療法で使用する薬は、免疫システムに異常を起こすリウマチそのものを治療する抗リウマチ薬や生物学的製剤、リウマチによる炎症を抑えて痛みや腫れなどをコントロールするステロイド剤です。
抗リウマチ薬
免疫の異常を抑制することで、リウマチを根本から抑える効果が期待できます。
しかし、副作用が比較的現れやすいため、定期的に検査を受けることが必要です。
生物学的製剤
炎症を強める役割を果たす炎症性サイトカインに作用します。
大腸菌などを利用して作られており、炎症性サイトカインの働きをブロックすることで炎症を鎮めます。
ただし、副作用の危険性が高く、比較的高額であるため、医師とよく相談したうえで使用するかどうか決めることが大切です。
また、機能の障害の程度によっては、機能を回復させるために手術を行うこともあります。
膝関節リウマチの手術の種類には、関節炎のきっかけとなる滑膜の炎症に対処するために滑膜を取り除く滑膜切除術、変形した関節を人工関節に置き換える人工関節置換術などがあります。
まとめ
関節リウマチは、痛みや腫れ、動かせる範囲が狭くなるなどの症状により、生活に支障をきたす病気です。
放置すると症状が進行し、関節が変形したり動かせる範囲が大きく狭まったりします。
そうなる前に病院を受診して治療を始めることが大切です。
治療では、症状を悪化させないために、痛みが強いときは「安静にして過ごす」「動かせる範囲が狭くならないよう運動する」といった生活の指導のほか、薬物療法や手術療法などが適用されます。
関節への負担を抑えつつ薬で症状をやわらげることで、生活に大きな支障をきたすことなく暮らせるでしょう。
自己流のケアは症状の悪化を招く可能性があるため注意が必要です。
生活や仕事に支障をきたさないためにも、医師の指示に従って過ごし、処方された薬を正しく使いましょう。
監修者プロフィール
みやざわ整骨院院長 宮澤大助
東京都大田区池上でみやざわ整骨院を開業。ゴルフ、野球、サッカー、相撲、マラソン、水泳の多種分野のアスリートが主に来院。数多くのトップアスリートを治療し、コンディショントレーニングをサポート。代替医療分野で「東久邇宮記念賞」を受賞。
http://www.tgc-d.com/miyazawa.html
記事の参考URL
http://www.jinko-kansetsu.com/pain/knee/diseases.html
http://www.jinko-kansetsu.com/pain/knee/ra.html
http://www.jinko-kansetsu.com/pain/knee/ra/index.html
http://www.jinko-kansetsu.com/pain/knee/ra/medication.html
http://www.jinko-kansetsu.com/pain/knee/ra/operation.html
http://www.jinko-kansetsu.com/pain/knee/ra/rehabilitation.html
医療・美容ライター。これまでの執筆本数は9,000本以上に昇る。正確でわかりやすい記事が医師からも好評。
ムダ毛や体臭などのお悩み解決記事から疾患の説明記事まで幅広く執筆。
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