急性関節炎の種類別の原因と症状|ウイルス感染症・痛風など
外傷があるわけでもないのに、関節が痛い……。
こうした症状は、多くは関節炎が引き起こす痛みが原因です。
痛みのほか、腫れやむくみといった見た目の異常が部位に見られることもあるでしょう。
関節炎には急性関節炎と慢性関節炎があり、それぞれ主な原因が異なります。
急性関節炎では、ウイルスによる感染症、痛風、慢性関節炎では関節リウマチが主な原因のひとつです。
また、原因によっては、ずっと同じ関節が痛むわけではなく関節から関節へ痛みが移動する「移動性関節炎」を起こす場合もあります。
このページでは、さまざまな種類の急性関節炎について、それぞれの原因、主な症状をご紹介します。
関節炎の種類によって適した対処方法も異なるもの。
痛みの改善のためには、適切な診断、治療を受けることが必要です。
ウイルス感染症による関節痛の原因と症状
細菌感染が原因となり、関節痛を引き起こすことがあります。
細菌が体内に入ることで、関節内に白血球や浸出液が増加することが原因です。
その結果、痛みを生じるほか、関節が赤くなったり、腫れが見られたりします。
原因となるウイルスは、乳幼児、成人を問わず黄色ブドウ球菌が大半です。
そのほか、乳幼児ではレンサ球菌、グラム陰性桿菌、大きな子どもや成人ではレンサ球菌、淋菌が原因となることがあります。
HIVやパルボウイルス、風しんやおたふくかぜ、B型肝炎、C型肝炎の原因ウイルスによっても、ウイルス性の関節炎が引き起こされるリスクがあるのです。
診断名としては、「メチシリン耐性黄色ブドウ球菌関節炎(MRSA関節炎)」「バンコマイシン体制腸球菌関節炎(VRE関節炎)」が多くなっています。
これらは、手術や注射など、院内による感染が原因となることが多い傾向です。
そのため、元からリスクが高い人だけではなく、健康な人でも発症することがあります。
過去に関節の感染症を患ったことがある人や、薬の注射のために針を日常的に使用している人、高齢やアルコール依存症、性感染症リスクを高める性行為などが危険因子として挙げられます。
感染から数時間~数日以内に痛みや腫れ、発熱が生じることが一般的です。
反応性関節炎による関節痛の原因と症状
感染による関節炎のなかでも、性器や消火器といった、関節に直接影響を及ぼさない部位の感染症患者が患う関節炎を、「反応性関節炎」と呼びます。
病名の由来は、関節の炎症が消火器や性器、泌尿器が感染したものに対応して引き起こされている反応に見えるためです。
反応性関節炎の多くが、大きく分けて2つのパターンに分かれます。
1つ目は、性感染症パターン。
クラミジア感染症の患者などに起こる関節炎です。
20~40歳程度の男性に多く見られます。
2つ目のパターンは、細菌性赤痢やサルモネラ菌、カンピロバクター感染症やエルシニア感染症といった、腸に関する感染症です。
反応性関節炎は、こうした腸の感染症のあとに起こります。
関節の痛みと炎症のほか、腱の炎症や発疹、眼の充血が主な症状です。
関節痛と炎症の程度は、さまざま。
特に多く見られるのは、ひざの関節、足の指の関節、かかとなどの複数個所の関節が同時に痛みや炎症を起こすものです。
そのほか、体重の減少や微熱も反応性関節炎の症状として見られることがあります。
男性では前立腺の炎症や痛み、陰茎の発疹や分泌物が、女性では少量のおりものや排尿時の違和感が見られることもあります。
一部の患者には痛みや変形がずっと残ることもあるため、早めの診断と治療が必要です。
痛風による関節痛の原因と症状
痛風は、血中の尿酸の濃度が高くなった結果、結晶となって関節や腎臓にたまり、さまざまな障害を引き起こす病気です。
その症状のひとつが関節炎。
痛風による関節痛は、急速に症状が現れるのが特徴です。
主に足の関節に現れ、痛みのほか、腫れや皮膚の赤みが見られます。
激痛を伴うため、歩くことが困難になることも少なくありません。
現在では、健康診断により、痛風の症状が出る前に尿酸濃度の高さを指摘されることも多くなったため、発症前に予防策を講じることも可能です。
基本は食事療法で、プリン体の過剰摂取の制限、アルコールの制限、適切な水分補給が有効とされています。
プリン体が多い食品は、干物、肉類、大豆、貝類などです。
痛風による関節炎を発症している場合、まずは痛風かどうかを診断することが必要となります。
しかし、関節炎を起こしているときには、尿酸値が高くない場合もあるため、一度の測定では診断がつかないこともあることを知っておきましょう。
また、痛風による関節炎と似た症状のもので、「偽痛風」があります。
こちらは、ピロリン酸カルシウム結晶の沈着が原因です。
ひざに症状が現れることが多いでしょう。
X線でひざ関節の半月板に石灰化が見られる場合、偽痛風の可能性が高くなります。
まとめ
関節炎には慢性のもの、急性のものがあり、急性関節炎のなかにもいくつもの病気があります。
原因となる病気によって、その後の治療方法が異なるため、まずは医師に正確な診断を下してもらうことが必要です。
病院での診断方法には、X線やCT、MRI、採血や関節液の確認があります。
考えられる病気によって、骨や筋肉など異常が見られる部位が異なるため、いくつかの検査を組み合わせる必要がある場合もあります。
急性関節炎のうち、ウイルス性関節炎は症状の進行が急速なため、特にいち早く治療を始めなければなりません。
治療の開始が遅れると、後遺症につながる場合もあります。
「関節が痛い」と突然感じた際は、まず早めに医療機関を受診しましょう。
監修専門家プロフィール
みやざわ整骨院院長 宮澤大助
東京都大田区池上でみやざわ整骨院を開業。ゴルフ、野球、サッカー、相撲、マラソン、水泳の多種分野のアスリートが主に来院。数多くのトップアスリートを治療し、コンディショントレーニングをサポート。代替医療分野で「東久邇宮記念賞」を受賞。
http://www.tgc-d.com/miyazawa.html
記事の参考URL
https://allabout.co.jp/gm/gc/393357/
https://www.ohta-hp.or.jp/n_etc/80med/dep/dep01/d01_02.htm
医療・美容ライター。これまでの執筆本数は9,000本以上に昇る。正確でわかりやすい記事が医師からも好評。
ムダ毛や体臭などのお悩み解決記事から疾患の説明記事まで幅広く執筆。
正しい知識を広めるために、医療・美容の情報をわかりやすくお伝えします。
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