肌の悩み「アトピー」を和らげるためのテクニック
肌のかゆみが強く、つらいアトピー。
ついかいてしまい血がにじんでしまったり、傷んでしまった肌が気になり半袖を着ることをためらってしまったり。
子どもの頃から長年苦しんできた方もいることでしょう。
アトピー性皮膚炎は、アレルギー症状のひとつ。
そのため、食べものや飲みものでの対策も症状を落ち着かせるひとつの方法です。
また、もちろん適切なスキンケアも重要。
皮膚科で処方される塗り薬とうまく付き合いながら、状態を落ち着かせていきたいものです。
このページでは、アトピーの症状が起こるメカニズムのほか、身体の内側・外側両方から出来る対策方法についてご紹介します。
アトピーと上手に付き合いながら、肌の悩みを軽減させていきましょう。
アトピーの症状のメカニズム
アトピー性皮膚炎は、改善と悪化を繰り返す、かゆみをともなう湿疹を中心とした皮膚疾患のことです。
患者の多くが、「アトピー素因」を持っているとされています。
<アトピー因子>
- 家族にアトピー患者がいる
- 気管支喘息、アレルギー性鼻炎・結膜炎、アトピー性皮膚炎の病歴
- IgE抗体が上昇しやすい
このようなアトピー性皮膚炎になりやすい体質に加え、環境による要因が掛け合わされることにより、症状が発生します。
環境による要因には、以下のものが挙げられます。
- 各種アレルゲン(食べもの・ダニ・ほこり・カビ・花粉・動物の毛など)
- アレルゲン以外の刺激(汗、摩擦、乾燥、洗剤や石鹸、化粧品)
また、寝不足や過労、ストレスなど、その時々に抱えている肉体的・精神的な状態によって症状が引き起こされることもあります。
発症の多くが乳幼児期で、成長とともに治まっていくことが多い傾向です。
ただし、一度治まった人が大人になってから、さまざまな要因が重なり再発することもあります。
年代別に湿疹が出る場所の傾向にも違いがあり、乳児期は頭や顔、幼児期以降になると体幹部や下肢に広がっていきます。
診断の目安は、症状の持続期間。乳児では2ヶ月以上、幼児から成人は半年以上が目安です。
食べ物・飲み物から出来るアトピー対策
アトピー性皮膚炎の要因のひとつが、食べものや飲みものです。
アレルギーを引き起こしやすい食品を早いうちから食べさせるべきではないとする説もありますが、現在では適切に食べさせていく方がよいという意見もあり、絶対論がないのが現状です。
その一方で、かゆみを引き起こす成分を多く含む食品があるのも事実です。
かゆみを引き起こす成分「ヒスタミン」が脳に届くことで、私たちは「かゆい」と感じます。
かゆみを感じて患部をかきむしってしまうと、肌のバリア機能が壊れてしまいます。
バリア機能が壊れてしまうと、そこからアレルゲンが体内に入り込みやすくなり、より症状が悪化する…と悪循環に陥ってしまうのです。
ヒスタミンを多く含む食品の摂取を控えることによって、かゆみを少しでも抑えられます。
一方、ビタミンBやC、核酸を多く含む食べものや、免疫を強化する食べものを適度に摂取するのも効果的です。
<ヒスタミンを多く含む食べものの例>
- チョコレート
- ココア
- トマト
- ほうれんそう
- なすそば
- 山芋
- 魚の干物
- 肉の脂身
- ピーナッツ類
- 白砂糖
- マヨネーズ
- ラーメン
<ビタミンB・C、核酸の多い食べもの>
- 納豆
- ヨーグルト
- みそ
- ニンジン
- ニラ
- 大根
- 豚肉の赤身
- 缶詰のイワシ、さんま
- しめじ
- しいたけ
<免疫強化に効果がある食べもの>
- にんにく
- ニラ
- レンコン
- ねぎ
- タマネギ
- キノコ類
なお、すでに食物アレルギーを持っていて、アナフィラキシーショックのリスクがあるといった場合を除き、極端に排除することは控えましょう。
反対に、良いとされる食べものを極端に摂りすぎることも考えものです。
身体の外側から出来るアトピー対策
アトピー症状を発生させたり、悪化させたりしないためには、皮膚のバリア機能を落とさないようにすることが大切です。
アレルゲン対策
アレルギーは食べものだけで起こるものではありません。
アトピーで悩んでいる人の多くは、花粉やダニ、ほこりといった「ハウスダスト」と呼ばれるアレルゲンによっても症状が発生してしまいます。
適切に掃除を行う、ほこりを生じさせるクッションやぬいぐるみを減らすなど、アレルゲンを減らす対策を行いましょう。
適切なスキンケア
肌表面を清潔に保つことも対策方法のひとつです。
汗や汚れも皮膚刺激となるため、こまめに洗い流しましょう。
ただし、強くこすらないようにすることが重要です。
石鹸やシャンプーは低刺激のものを選び、お湯の温度は低めに設定します。
火照りはかゆみにつながるため、長湯は避け、入浴剤も火照りを生じさせないものを選びましょう。
薬は医師の指示に従って
皮膚科で処方された塗り薬や飲み薬は、指示通りに使用します。
ステロイド薬も、必要に応じて適切に塗布しましょう。
心配事や疑問点がある場合は医師や薬剤師に相談し、場合によってはセカンドオピニオンも視野に入れておきます。
自己判断で薬を中断することはやめましょう。
まとめ
アトピー性皮膚炎の症状を抑えるためには、肌のバリア機能を高めることが重要です。
皮膚科医によって薬の処方や考え方には違いがあるため、気になることがあれば、ほかの医療機関を受診することも有効でしょう。
「なぜこの薬を出すのか」を丁寧に説明してくれる医師であれば安心ですね。
肌にかゆみが生じた場合は、引っかいて壊してしまう前にケアをすることがポイントです。
早めに医療機関を受診する、乾燥対策を施す、化粧品やスキンケア用品を見直すといった対策をとりましょう。
免疫機能を極端に落とさないよう、睡眠不足や過度にストレスを溜め込まないことも大切です。
悪循環に陥ってしまうと、改善までに長い時間を要します。
セルフコントロールが出来る状態を保てるよう、日頃から気をつけておきたいものですね。
記事の参考URL
https://www.daiichisankyo-hc.co.jp/health/symptom/32_atopy/index2.html
http://derma.w3.kanazawa-u.ac.jp/patient/atopy.html
http://www.jaanet.org/pdf/guideline_skin02.pdf
https://www.nms.ac.jp/hosp/section/dermatology/guide/outpatient009.html
https://www.maruho.co.jp/kanja/atopic/medication/
http://www.med.kindai.ac.jp/derma/atopy.htm#shokuji
https://www.juntendo.ac.jp/graduate/laboratory/labo/kankyo_igaku/kayumi/itch.html
さいたま市在住。幼少期からの「書くことが好き」が講じてフリーライターに。
コラム記事から店舗・病院・企業への取材・インタビュー記事まで幅広く執筆している。
販売員をしていたインテリア雑貨店で扱っていた、日常をちょっぴり楽しくさせる入浴剤・アロマ・ケア用品が好き。
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