慢性関節炎の種類別の原因と症状|変形性関節症・炎症性疾患など
日常生活に支障が生じることも少なくない、つらい関節痛。
外傷を負っていない場合、多くが関節炎からくる痛みです。
関節炎には急性関節炎と慢性関節炎との2パターンがあります。
急性関節炎の場合は、ある日突然痛みが訪れるため、自分自身でも「おかしい」と気づきやすいでしょう。
一方、慢性関節炎は痛みが長く持続するため、痛いことが当たり前になってしまい、病院に行かずに我慢してしまう方もいるのではないでしょうか。
しかし、痛みを我慢し続けることは禁物。慢性関節炎にも原因がさまざまあるため、病院で診断を受け、適切な治療を受けることが大切です。
このページでは、慢性関節炎を引き起こす原因についてご紹介します。
原因によって、現れる症状にも違いがあるものです。
ご自身の痛みに該当するものがあるか、チェックしてみてくださいね。
炎症性疾患による関節痛の原因と症状
慢性関節炎を引き起こす原因のひとつが、炎症性疾患です。
炎症性疾患として代表的なものが、関節リウマチでしょう。
また、乾癬性関節炎、全身性エリテマトーデス(成人)も原因として多くみられるものです。
関節に炎症を起こした結果、悪化すると関節が破壊され、激しい痛みとともに、日常動作に支障が出ることもあります。
代表的な疾患である関節リウマチは、関節内にある「滑膜(かつまく)」という組織が異常増殖することが原因で炎症が引き起こされる疾患です。
初期段階では、両手や足の指の関節が対象的に腫れ、朝を中心にこわばりをみせるようになります。
人によってはひざや股関節にも症状が現れることがあります。
症状が悪化すると、痛みが強まり、日常生活に支障をきたす病気です。
関節リウマチにかかりやすいのは、特に30~40代の女性。
関節の症状のほか、貧血や微熱、全身の倦怠感を合併することがあります。
原因として挙げられるものには、遺伝や細菌・ウイルスへの感染などがありますが、まだはっきりとはわかっていません。
早めの診断、治療の開始が必要です。
症状を悪化させないためには、適切な休養と栄養を摂ることが有効だとされています。
規則正しい生活を意識しましょう。
変形性関節症による関節痛の原因と症状
変形性関節症は、関節にある軟骨と周囲の組織の損傷があわせて起こる慢性疾患で、痛みや関節のこわばりのほか、運動機能に支障が起こるのが特徴です。
関節疾患のなかで最も多くみられます。
加齢に伴いよくみられるようになり、早い人では40~50代から発症し、80歳までには、ほぼすべての人にある程度生じます。
40歳未満になると、女性よりも男性の患者が多く、原因の多くはケガです。
変形性関節症は、一次性と二次性の2つに分類されます。
一次性変形性関節症は、別名「突発性変形性関節症」と呼ばれ、原因は不明です。
変形性関節症の患者の大半が、この一次性に当てはまります。
症状が現れる部位は、ひざなど特定の部位だけである場合と、複数の関節である場合との2パターンです。
二次性変形性関節症は、感染症やケガ、出生時の関節の異常といったほかの病気が原因で引き起こされます。
関節リウマチや痛風など、関節の軟骨が損傷される病気も、二次性変形性関節症の原因のひとつです。
治療としては、痛み止めの服用や運動、理学療法のほか、場合によっては手術を行うこともあります。
若年性特発性関節炎による関節痛の原因と症状
若年性特発性関節炎とは、16歳未満の子どもに起こる原因不明の関節炎を指します。
炎症が起こる期間は6週間以上。
子ども1万人あたりひとりにみられる、関節リウマチに似た難病です。
大人になっても約6割の患者は通院・治療を継続せざるを得ない状態にあります。
若年性特発性関節炎は、「全身型」「少関節炎」「リウマトイド因子陰性多関節炎」「リウマトイド因子陽性多関節炎」に分類され、日本の患者に多いのは「全身型」で、全体のおよそ30~40%を占めています。
全身型は1~5歳に多く発症し、男女差はみられません。
全身型の場合、関節に腫れや痛みが生じ、高熱が続きます。
また、80%以上の患者に発疹がみられるのも特徴です。
発熱は継続せず、自然に解熱しては発熱することを繰り返します。
発熱と共に寒気を訴える患者も多い傾向です。
関節に起こる症状としては、指など小さな関節から、ひざ、手首や肩といった大きな関節に痛みやこわばりが現れます。
特に朝に症状が強く出ることが多い傾向です。
痛みを言葉にできない幼い子どもの場合、痛むことが多い午前中には、抱っこをせがんだり触られるのを嫌がったり、不機嫌が続くといった様子がみられることもあります。
若年性特発性関節炎の原因は不明。
関節の痛みや腫れには非ステロイド抗炎症薬を用い、全身型にはステロイドを用いて治療を進めます。
関節炎が起こっている間は、関節に負担のかかる運動や作業を控え、症状が落ち着いているときにはストレッチや散歩など、体を動かすようにしましょう。
まとめ
慢性関節炎には、年齢・性別に応じて、起こりやすい疾患がさまざまあります。
どの疾患も、関節炎の症状が長期にわたり持続するため、「おかしいな」と感じた際は、早めに医師の診断を受けることが必要です。
特に、満足に症状を訴えられない幼児に症状が現れることがある「若年性特発性関節炎」の場合、異常に気が付くには親の意識が必要となります。
歩き方がおかしかったり、関節部分に触れると泣いて嫌がったりするなど、不自然な様子が繰り返しみられる場合、病院を受診することをおすすめします。
加齢が原因となるものもある慢性関節炎。
加齢が原因の場合は完治が難しく、長年病気と付き合い続ける必要があるものも少なくありません。
日々の生活を少しでも快適に送るためにも、早期発見、治療の開始が大切です。
監修専門家プロフィール
みやざわ整骨院院長 宮澤大助
東京都大田区池上でみやざわ整骨院を開業。ゴルフ、野球、サッカー、相撲、マラソン、水泳の多種分野のアスリートが主に来院。数多くのトップアスリートを治療し、コンディショントレーニングをサポート。代替医療分野で「東久邇宮記念賞」を受賞。
http://www.tgc-d.com/miyazawa.html
記事の参考URL
https://allabout.co.jp/gm/gc/393357/
http://www.nanbyou.or.jp/entry/3946
https://www.joa.or.jp/public/sick/condition/rheumatoid_arthritis.html
さいたま市在住。幼少期からの「書くことが好き」が講じてフリーライターに。
コラム記事から店舗・病院・企業への取材・インタビュー記事まで幅広く執筆している。
販売員をしていたインテリア雑貨店で扱っていた、日常をちょっぴり楽しくさせる入浴剤・アロマ・ケア用品が好き。
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