腰が痛いときに疑う病気|腰椎すべり症の症状と引き起こす原因
ふとしたときに腰が痛くなったりしびれを感じたりする場合、何らかの病気の可能性があります。
腰に痛みやしびれの症状が現れることは、珍しいことではありません。
そのため、症状が現れても放置している方は多いのではないでしょうか。
腰は複雑な構造をしており、加齢とともに構造の一部に負担がかかってさまざまな症状をきたすようになります。
そのひとつが腰椎すべり症です。
治療を受けずに放置すると長時間歩くことができなくなり、生活の質の低下や仕事への影響などさまざまな問題が起こります。
そうなる前に医療機関を受診して、適切な治療を受けることが大切です。
ここでは、腰が痛いときに疑う病気「腰椎すべり症」の症状や原因、治療法などについて詳しくご紹介します。
腰椎すべり症の代表的な症状
腰椎すべり症では、腰の痛みや脚のしびれ、痛みなどの症状が現れます。
症状が進行すると、神経が通っている脊柱管が狭くなり、長距離を歩くと痛みやしびれなどの症状が強くなります。
また、しゃがむと症状がやわらぐことが特徴です。
さらに、症状が進行すると安静にしていても下肢の痛みが起こるようになります。
初期でも腰痛や脚のしびれや痛みによって仕事や生活に支障をきたすため、できるだけ早く治療を受けることが大切です。
長距離を歩くことが難しくなると、営業の外回りや店舗スタッフなどの仕事に支障をきたします。
ただし、休憩すれば再び歩けるようになります。
しかし、毎日の腰痛によって仕事のモチベーションが下がることもあるでしょう。
仕事で長距離を歩く場合には、早い段階で治療を始め、仕事への支障を抑えることが大切です。
腰椎すべり症が進行し、安静時にも痛むようになれば、つらい思いをすることになるでしょう。
「トイレに行く」「入浴する」「炊事」「洗濯物を干す」といった日常的なことにも支障をきたす恐れがあります。
症状さえコントロールできれば、仕事や生活への支障を抑えることができるため、医師の指示に従って治療を受けましょう。
腰椎すべり症になってしまう原因
腰椎すべり症の原因は解明されていませんが、加齢が関係しているといわれています。
加齢とともに腰椎と腰椎の間にある椎間板というクッションの機能が低下したり、じん帯、関節などがゆるんだりすることで、腰椎がすべって不安定になります。
そして、神経が通っている脊柱管が狭くなり、神経を圧迫して痛みや痺れなどの症状を引き起こすのです。
椎間板のクッションの機能が低下するのには、普段の習慣も関係しているといわれています。
重いものを持つことで負担がかかるほか、猫背など悪い姿勢によって腰に負担がかかります。
これらは、腰椎すべり症だけではなく、腰椎椎間板症のような病気の原因でもあるため注意が必要です。
また、生まれつき腰椎すべり症に関係する組織の形成に問題があり、成長とともに悪化することで腰椎すべり症を発症する可能性もあります。
そのほか、成長期の過度な運動によって疲労骨折が起こり、椎間板のクッション性が低下することもあるのです。
加齢を防ぐことはできないため、できるだけ腰への負担を避けて過ごすことが予防策といえるでしょう。
腰椎すべり症の痛みをやわらげるには
腰椎すべり症には、基本的に保存療法が適用されます。
消炎鎮痛剤など炎症と痛みを抑える薬を内服し、痛みを抑えることができれば、腰のストレッチや筋力を高める体操などを行います。
そして、コルセットを装着し、腰への負担をやわらげつつできるだけ安静にしましょう。
特に、痛いときには無理に動かないよう注意が必要です。
痛みが強い場合には、神経ブロック療法を行うこともあります。
神経ブロック療法とは、痛みがあるところの神経の近くに麻酔薬を注入し、痛みを鎮める治療法です。
神経の興奮を抑えて痛みの悪化を抑える作用もあるため、消炎鎮痛剤やコルセットの装用に十分な効果がみられない場合は医師に相談しましょう。
保存療法で改善しない場合には、脊椎固定術や除圧術などの手術を検討します。
それぞれ、次のような手術となっています。
脊椎固定術
腰椎すべり症では、腰椎と腰椎の間が不安定になっているため、問題が起きている椎間板を取り除き、ほかの部位から採取した骨を移植して固定します。
術後は、数ヶ月のコルセットの装着が必要です。
除圧術
脊柱管が狭窄している場合に検討されます。
脊柱管を広げることで神経の圧迫を抑えます。
身体への負担が比較的少なく、3~4日程度の入院で済むことが特徴です。
まずは、医療機関を受診して検査を受けましょう。医師の指示に従って治療を受けて、生活や仕事への影響を防ぐことが大切です。
まとめ
腰椎すべり症は、腰や脚のしびれや痛みなどの症状が現れることで、生活や仕事に支障をきたす可能性がある腰の病気です。
ほかにもさまざまな病気の可能性があるため、自己判断せずに医療機関を受診しましょう。
痛みをコントロールしたうえで、ストレッチや体操で悪化を防ぐことが基本的な治療方針です。
消炎鎮痛剤では十分に改善しないケースもあります。
その場合は、神経ブロック療法を検討しましょう。
しかし、注射針を使うため、できれば受けたくないという方もいるのではないでしょうか。
症状が進行すると、手術も視野に入れることになります。
このように、進行すればするほどに治療による負担が大きくなるので、できるだけ早い段階で治療を受けるようにしましょう。
状態によって治療法が異なるので、医師の説明をよく聞いて、今後の治療計画について決めることが大切です。
監修専門家プロフィール
みやざわ整骨院院長 宮澤大助
東京都大田区池上でみやざわ整骨院を開業。ゴルフ、野球、サッカー、相撲、マラソン、水泳の多種分野のアスリートが主に来院。数多くのトップアスリートを治療し、コンディショントレーニングをサポート。代替医療分野で「東久邇宮記念賞」を受賞。
http://www.tgc-d.com/miyazawa.html
記事の参考URL
https://www.joa.or.jp/public/sick/condition/spondylolisthesis.html
http://www.kameda.com/pr/spine/post_27.html
http://www.tokushima.med.or.jp/kenmin/doctorcolumn/hc/959-2015-08-25-05-39-32
https://www.kaoru-pc.jp/nerveblock/
医療・美容ライター。これまでの執筆本数は9,000本以上に昇る。正確でわかりやすい記事が医師からも好評。
ムダ毛や体臭などのお悩み解決記事から疾患の説明記事まで幅広く執筆。
正しい知識を広めるために、医療・美容の情報をわかりやすくお伝えします。
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