膝痛を放置するのは危険!変形性膝関節症の進行と予防法
年を重ねると増える膝の痛み。
階段の上り下りがつらくなったり、立ち上がるのがおっくうになったり。
このような膝の症状を、「もう年だから仕方がない」と思って放置してはいませんか?
しかし、その膝の痛みを放置していると、さらに症状が悪化し、最後には自力で歩くことが困難になる可能性があるのです。
こうした症状を引き起こす膝の痛みは、「変形性膝関節症」が原因。
男女では1:4で女性に多くみられ、高齢化に伴い患者数が増加します。
膝の痛みのほか、膝部分に水が溜まるのも症状のひとつです。
変形性膝関節症による膝の痛みは自分でも予防することができます。
今回は、変形性膝関節症が引き超す症状、症状の進行のほか、自分でできる予防方法についてご紹介します。
将来歩けなくなるリスク
「膝が痛い」と思いながら、特に治療を行わず放っておくと、症状が悪化した際、歩けなくなってしまう可能性があります。
「変形性膝関節症」は、膝の内部にある軟骨がすり減り、骨同士が接触しやすくなった結果、内部で炎症を引き起こす疾患です。
さらに、骨同士が直接ぶつかり合うことによって、骨が削れたり、位置がずれたりし、変形がみられるようになるのです。
変形性膝関節症は、中高年における膝の痛みの約9割以上が原因であるとされています。
男性よりも女性に多いのが特徴です。
その理由としては、3つ挙げられます。
- 女性は男性よりも筋肉量が少ないこと
- 加齢に伴い太りやすくなり、関節にかかる負荷が大きくなりがちであること
- 閉経により女性ホルモンの分泌量が減り、骨が弱くなること
はじめは、ただ「膝が痛い」という程度の症状ですが、進行するに従い、痛みがひどくなり、関節の変形にもつながります。
悪化して自力歩行ができなくなる前に、早めの治療が必要です。
また、そもそも膝の痛みを生じさせないような予防対策を施すことも重要でしょう。
変形性膝関節症の進行
変形性膝関節症には、初期・中期・後期の3段階があります。
それぞれに痛みの強さや変形の度合い、膝に現れる症状には違いがみられます。
初期段階では、まだ通常の生活を送ることが可能です。
痛みを感じるのは歩き始めで、歩き続けるとすぐに消える程度。
痛み以外の症状としては、立ち上がる際や階段の上り下りの際に感じる膝の重さや、朝目覚めたときの膝のこわばりがあります。
膝と膝の間がわずかに開く程度のO脚もみられます。
膝内部では、軟骨に亀裂が入り始める段階です。
中期になると、膝の痛みがどんどん強まってきます。
まだ、身の回りのことは一通りできますが、強い痛みが持続します。
膝に腫れがみられ、水がたまっていることがわかることも。
膝をまっすぐ伸ばすことができなくなり、痛くて正座もできません。
立ち上がったときに膝が外側を向くO脚がみられます。
膝内部では、関節軟骨がすり減り、骨と骨との間が狭くなっています。
後期になると、非常に強い痛みに襲われ、身の回りのこともほぼできない状態になります。
膝関節のぐらつきを漢字、膝全体が大きくなったように見えるでしょう。
O脚も悪化。
膝内部では、関節軟骨がほぼなくなり、骨と骨とがぶつかってしまっている状態です。
変形性膝関節症を予防するには?
軟骨のすり減りは加齢とともに仕方がない部分もありますが、変形性膝関節症を予防するには、ほかにもさまざまな方法があります。
まず、大切なことは正しい歩き方を習慣づけることです。
正しい歩き方とは、脚を前に出したとき、膝が伸びている状態を指します。
膝を曲げたまま歩いていると、膝にアンバランスな負荷がかかり、結果膝のお皿が不安定になり、痛みとなって現われてしまうのです。
正しい歩き方をすれば、大臀筋と内転筋という膝の痛みの予防に大切な筋肉が自然と鍛えられるメリットもあります。
この大臀筋と内転筋、もうひとつ大腿四頭筋のトレーニングも、膝の痛みの予防につながります。
そもそも、脚の筋肉は、すべて低下すると膝の痛みに影響を及ぼすものです。
大臀筋はおしり部分の筋肉のこと。
鍛えるには、仰向けに寝て片足の膝を立てて床につけた状態で、もう片方の足を、膝を伸ばしたまままっすぐに上げ、おしりを持ち上げるトレーニングを行います。
持ち上げた状態で3秒キープ。左右3回ずつ行いましょう。
内転筋のトレーニングは、まっすぐ立った姿勢で脚を開き、膝のあたりに硬めの枕やクッションを挟み、力を入れた内ももで3秒間キープすること。
こちらも、3~5回繰り返します。内側の筋肉に意識を向けて行いましょう。
大腿四頭筋のトレーニングは、膝の痛みが強くないときに行います。
立った姿勢のまま、ゆっくりと膝の曲げ伸ばしを行い、5回程度繰り返します。
太ももの前あたり、大腿四頭筋に意識を向けて行います。
また、膝に痛みが生じていないのであれば、外出先では階段を使う、立っているときには左右交互の足で片足立ちをするといったことを心がけると、大臀筋が鍛えられますよ。
片足立ちをする際は、片方数十秒を目安にしてくださいね。
まとめ
日常生活におけるトレーニングや生活習慣で、変形性膝関節症による膝の痛みを予防できます。
一度発症してしまうと、どんどん症状が悪化してしまうため、できるかぎり変形性膝関節症を発症させないようにすることが肝心です。
今回ご紹介したトレーニングのほか、正座を避けたり、洋式トイレを使用したりするといった、膝への負担を軽くさせることも有効です。
また、肥満の方は膝に大きな負担をかけているため、適性体重まで減量することも有効でしょう。
血行の悪化も症状を悪くさせるため、湯船につかる、クーラーで冷やし過ぎないようにするなど、冷え対策も予防策のひとつです。
自分で予防をしていても、年とともにいずれは大なり小なり痛みを感じ始める人が多いもの。
その際は、できるだけ早めに病院に行き、少しでも症状が重くならないように対処をしてくださいね。
監修専門家プロフィール
みやざわ整骨院院長 宮澤大助
東京都大田区池上でみやざわ整骨院を開業。ゴルフ、野球、サッカー、相撲、マラソン、水泳の多種分野のアスリートが主に来院。数多くのトップアスリートを治療し、コンディショントレーニングをサポート。代替医療分野で「東久邇宮記念賞」を受賞。
http://www.tgc-d.com/miyazawa.html
記事の参考URL
https://www.sawai.co.jp/kenko-suishinka/illness/200810.html
https://www.joa.or.jp/public/sick/condition/knee_osteoarthritis.html
さいたま市在住。幼少期からの「書くことが好き」が講じてフリーライターに。
コラム記事から店舗・病院・企業への取材・インタビュー記事まで幅広く執筆している。
販売員をしていたインテリア雑貨店で扱っていた、日常をちょっぴり楽しくさせる入浴剤・アロマ・ケア用品が好き。
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