膝が痛いのは関節包が原因かも?症状をチェックして正しく対策

年を重ねるにつれ、増える悩みが「膝の痛み」。
整骨院や整形外科には、連日膝の痛みを抱えた高齢者が多く治療に訪れています。
階段の上り下りや立ち上がる際に痛みを感じ始め、悪化するとふつうに歩くだけでも痛みを感じるようになってしまうことも。
膝の痛みの原因として有名なものが、軟骨のすり減りです。
グルコサミンやコンドロイチンを配合した健康食品のCMを思い浮かべる人もいるでしょう。
しかし、膝の痛みの原因は、軟骨のすり減りだけではなかったのです。
このページでは、膝の痛みのもうひとつの原因、「関節包」についてご紹介します。
関節包とは?
「関節包」とは、関節の周りを覆う、袋のようなもののこと。
膝部分では、大腿骨と脛骨(けいこつ:すねの骨)を覆うようにして存在しています。
膝部分をすべて包み込み、ひとつにまとめられるほど丈夫でありながら、関節が滑らかに動けるほどに柔軟でもあります。
関節包の内側には滑膜(かつまく)組織があり、数CCの関節液が分泌されています。
この滑液は、膝関節の潤滑剤としての働きを担っているものです。
軟骨のすり減りによる膝の痛みでは、すり減った軟骨の削りかすにより、滑膜層に炎症が起きることが、症状の原因とされています。
滑膜部分に炎症が起きると、関節液が増えてしまいます。
これが、いわゆる「膝に水がたまった」状態です。
「水が溜まった」から痛いのではなく、炎症の結果、水が溜まるわけですね。
軟骨のすり減りによる膝の痛みも、軟骨がすり減ったから痛いのではなく、すり減った結果起きた炎症が痛みの原因です。
一度炎症を起こしてしまった状態で軟骨に負担をかけると、さらに軟骨がすり減って炎症が起きやすくなるという悪循環に陥ってしまいます。
軟骨がすり減る原因には、体重の増加のほか、加齢による軟骨成分の減少などが挙げられます。
しかし、現在では軟骨のすり減りのほか、関節包自体が膝の痛みの原因であることがわかってきました。
関節包が痛む原因
一体、なぜ関節包が膝の痛みを引き起こす原因になるのでしょうか。
その答えは、関節包の硬化です。
ずっと同じ姿勢でいたところに突然腕や足を動かすと、痛みを感じられるでしょう。
じっとしている間に筋肉が固まってしまっているために、痛みが生じるのです。
関節包の硬化による痛みも、似たようなもの。
関節包が硬くなることにより、膝の曲げ伸ばしがしづらくなります。
また、関節包の周囲にある軟部組織には、痛みを感じる神経が多数通っています。
そのため、関節包が硬くなると、少しの刺激で痛みを感じやすくなってしまうのです。
関節包が硬くなってしまう理由のひとつは、加齢です。
また、炎症がきっかけで、硬化が進むこともあります。
関節包が硬くなってしまうと、それ自体が膝の痛みの原因に。
そのため、できるだけ関節包を柔らかく保てるようにすることが必要なのです。
しかし、そもそも自分の関節包が硬いのか、柔らかいのかすらわからないといった方も少なくないでしょう。
そうした方は、まず簡単なチェック方法で、関節包の硬さを調べてみましょう。
方法は簡単。
仰向けになり、足首をおしりまでぐっと引き寄せるだけ。
この際、かかとがおしりにつくのであれば、まだ関節包は硬くなっていません。
しかし、おしりにつかない場合は、関節包の硬化が始まっている可能性があるため、日頃からストレッチにより柔らかくさせることが必要となります。
関節包のストレッチ方法
関節包を柔らかくさせるためのストレッチには、「膝伸ばし」「お皿のストレッチ」があります。
膝伸ばしは、足を伸ばして座ったまま、太ももの前側の筋肉に力を5~10秒程度入れ、緩めることを繰り返すストレッチです。
1セットは10回。1日に2~3セットが目安です。
太ももの前側の筋肉に力を入れることにより、膝のお皿(膝蓋骨:しつがいこつ)と周囲の関節包が太もも側に引き寄せられるため、硬くなってきている部分をほぐすことができますよ。
床に座ることが難しい場合は、椅子に浅く腰かけた状態で足をまっすぐ前に伸ばし、かかとを地面につけた状態で力を入れたり抜いたりしてみましょう。
一方、お皿のストレッチでは、足を伸ばした状態で力を抜き、膝のお皿が水平方向に動くことを確認し、お皿を押すようにして力を入れます。
お皿の縁に右手と左手両方の親指を重ね、上下左右、斜めと8方向に向かって、順に押していきましょう。
押す時間は1ヵ所につき約5秒。1回のストレッチはトータルで3分。1日に2回が目安です。
膝のお皿を押した際、痛みを感じるところは、関節包が硬くなっているところです。
いきなり強い力を入れずに、徐々に慣れていくように行いましょう。
まとめ
健康に長生きするためにも、膝の痛みは抱えたくないもの。
できるだけ痛みを感じずに済むように、できる対策を行いたいものですよね。
膝部分に腫れが見られる場合は、軟骨のすり減りによる炎症を起こしている可能性が高いため、病院で診察を受けることをおすすめします。
状態に合わせた治療を行ってもらいましょう。
しかし、腫れもなく、特に目立った原因もないという場合は、関節包の硬化が膝の痛みの原因である可能性があります。
今回ご紹介したストレッチを取り入れながら、できるだけ関節包を柔らかく保てるようにしましょう。
痛みが軽減してきた際は、軽いウォーキングをするなど、筋肉量の減少、筋力の低下の防止に努めることも、膝の痛みの予防につながりますよ。
監修専門家プロフィール
みやざわ整骨院院長 宮澤大助
東京都大田区池上でみやざわ整骨院を開業。ゴルフ、野球、サッカー、相撲、マラソン、水泳の多種分野のアスリートが主に来院。数多くのトップアスリートを治療し、コンディショントレーニングをサポート。代替医療分野で「東久邇宮記念賞」を受賞。
http://www.tgc-d.com/miyazawa.html
記事の参考URL
http://www9.nhk.or.jp/gatten/articles/20170712/index.html

さいたま市在住。幼少期からの「書くことが好き」が講じてフリーライターに。
コラム記事から店舗・病院・企業への取材・インタビュー記事まで幅広く執筆している。
販売員をしていたインテリア雑貨店で扱っていた、日常をちょっぴり楽しくさせる入浴剤・アロマ・ケア用品が好き。
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