指関節が痛いときにチェックしたい3つの疾患。症状と原因は?
「指が痛くてまっすぐに伸ばせない」「指を動かすときにカクンとする変な感覚がある」「指関節が痛い」。
こうした指関節の不調の原因には、手指の酷使や外傷のほか、さまざまな疾患があります。
代表的なものが、「ばね指」「変形性関節症」「関節リウマチ」です。
どの疾患も、症状が悪化すると激しい痛みや骨の変形により日常生活における手指の動作がしづらくなるため、医療機関の受診や治療が必要です。
これらの疾患には、共通してみられる症状も多くあるため、違いがわかりづらい場合もあります。
このページでは、指関節の代表的な3つの疾患について、原因と症状をご紹介します。
それぞれの原因・症状の違いについて、順に見比べていきましょう。
ばね指の原因と症状
手の指を伸ばそうとした際、指がカクンとはねて痛むことはありませんか?
こうした症状は、腱鞘炎のひとつ、「ばね指」の特徴的なものです。
症状が進行すると、指がうまく伸ばせなくなり、曲がったままになってしまうことも。
指がうまく使えなくなるため、日常生活にも支障が生じてしまいます。
腱鞘炎の原因の多くが手や指の酷使であるように、ばね指の原因も、その多くが手の反復使用です。
しかし、場合によっては、病気によるものや、原因がわからないものもあります。
特に更年期や妊娠出産期の女性に多く生じ、手指をよく使う仕事の人やスポーツ選手にも多くみられます。
また、糖尿病やリウマチ、透析患者にもよく発症する疾患です。
ばね指の症状が現れる指は、その多くが親指・中指です。
朝方には痛みが強まるものの、日中には痛みが治まることも少なくありません。
症状が現れ始めた段階では、「カクン」とした感覚がありますが、症状が悪化すると、指が動かなくなってしまうこともあります。
指の付け根に腫れや痛みが生じているのも、ばね指の症状の特徴です。
初期段階では、違和感を抱いている指を固定するなどして、安静にする治療を行います。
炎症を起こしている腱鞘内にステロイド注射や、ひどい場合には手術が選択されることもあります。
変形性関節症の原因と症状
指がまっすぐ伸ばせない場合、考えられる疾患が「変形性関節症」もしくは「関節リウマチ」の可能性があります。
このうち、「変形性関節症」は、指の第1関節、第2関節、親指の第3関節に異常がみられるのが特徴です。
指以外に起こることも多く、特に多くみられるのはひざの痛みです。
原因は軟骨のすり減り。
本来であれば、軟骨が指の骨の表面を覆い、骨と骨とを靭帯がつないでいるのが正常な状態です。
しかし、変形性関節症の人では、軟骨がすり減った結果、靭帯がゆるんでしまいます。
その結果、骨同士がぶつかってしまうことにより、痛みが生じてしまうのです。
症状が進行すると、接して食い込んだ状態になった骨が削れ、「骨棘(こつきょく)」という骨のとげができてしまいます。
その結果関節が変形してしまい、指が伸ばせなくなってしまうのです。
初期症状には、指の関節周辺の痛みだけでなく腫れや動かす際の引っ掛かり感、違和感などがあります。
変形性関節症が起こる原因には、遺伝的要因のほか、部位の使い過ぎや外傷による軟骨部分のすり減りが挙げられます。
しかし、原因不明の場合も少なくありません。女性に多く、加齢に伴って患者数が増加傾向にあります。
関節リウマチの原因と症状
指がまっすぐ伸ばせない原因となるもうひとつの疾患が、「関節リウマチ」です。
関節リウマチによる指の変形は、第2関節と第3関節に起こります。
ただし、親指の第3関節に変形がみられる場合は、「変形性関節症」であるケースがほとんどです。
第2関節の変形は関節リウマチ、変形性関節症のどちらでも起こります。
両者の違いは、膨らんだ部分の硬さです。
変形性関節症による膨らみは硬さがみられますが、関節リウマチによる関節の膨らみは軟らかいのが特徴です。
また、リウマチ因子検査という血液検査による診断も行われます。
関節リウマチである場合、ほとんどの患者が陽性反応を示しますが、変形関節症の患者の場合は、陰性になるのが違いです。
初期段階では対称的に腫れがみられ、特に朝にこわばりを感じるようになります。
また、関節リウマチは全身病のため、関節の症状だけではなく、貧血症状や倦怠感、微熱を生じることもあります。
患者の多くが女性で、年代は30~40歳代の人が中心です。
原因は遺伝的要因やウイルス感染などが挙げられていますが、はっきりとはわかっていません。
症状が悪化する前に、早めの診断・治療の開始が必要です。
まとめ
手の指の関節に異常が現れる代表的な疾患、「ばね指」「変形性関節症」「関節リウマチ」についてご紹介しました。
どの疾患も、指関節部分に痛みや変形を感じるものですが、引き起こされる原因や生じやすい年齢性別、痛みのほかに現れる症状には違いがみられます。
特に、全身の関節に症状が広がっていく関節リウマチの場合、首の上部分の骨が変形すると、脊髄が圧迫されることにより、手足の麻痺や呼吸トラブルにつながることも。
早期に診断を受け、治療を開始することで、症状の悪化をできるだけ防ぎたいものです。
手指の異常のみであっても、悪化すると外科手術が必要になるケースが多くみられます。
痛みやこわばり、引っかかりを感じたら、早めに病院を受診しましょう。
監修専門家プロフィール
みやざわ整骨院院長 宮澤大助
東京都大田区池上でみやざわ整骨院を開業。ゴルフ、野球、サッカー、相撲、マラソン、水泳の多種分野のアスリートが主に来院。数多くのトップアスリートを治療し、コンディショントレーニングをサポート。代替医療分野で「東久邇宮記念賞」を受賞。
http://www.tgc-d.com/miyazawa.html
記事の参考URL
https://www.nhk.or.jp/kenko/atc_282.html
https://www.joa.or.jp/public/sick/condition/rheumatoid_arthritis.html
https://www.joa.or.jp/public/sick/condition/osteoarthritis.html
https://www.joa.or.jp/public/sick/condition/snapping_finger.html
https://allabout.co.jp/gm/gc/408105/
https://www.nhk.or.jp/kenko/atc_282.html
さいたま市在住。幼少期からの「書くことが好き」が講じてフリーライターに。
コラム記事から店舗・病院・企業への取材・インタビュー記事まで幅広く執筆している。
販売員をしていたインテリア雑貨店で扱っていた、日常をちょっぴり楽しくさせる入浴剤・アロマ・ケア用品が好き。
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